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ガスの小売完全自由化で逆襲を狙う電力大手、成功のカギを握る提携企業

電力自由化の現状

電力の小売自由化によって様々な企業が電力事業に参入しています。その中でも、都市ガスや石油系などの元々発電施設を所有していた業種は十分な成果をあげています。
しかし、その煽りを受けているのが元々電力事業を一手に引き受けていた従来の電力会社です。
7月の段階で契約数は120万件が減少、これは契約数全体の2%にもなります。業績の悪化が見込まれる電力会社、しかし、2017年の4月から行われるガス小売全面自由化を控え、各電力会社ではガス事業者への反撃を模索しています。
しかし、ガスの小売は電力と違い、参入には様々な障害があります。果たして電力事業者はガス事業者のようにシェアを奪うことが出来るのでしょうか?

電力自由化とガス自由化の相違点と共通点

電力小売自由化とガス小売自由化の大きな違い

電力小売自由化の場合、既に全国各地に送電線網が設置されているため、参入に対する障壁は殆どありませんでした。日本に存在する企業であれば、どの地域にも電力を販売することが可能なため、日本全土に潜在的な顧客が見込まれます。

しかし、都市ガス小売完全自由化の場合、ガス配管は都市部にしか存在せず、プロパンなどの今回の自由化に関係の無いガスを使用している顧客も多く存在しています。このため、潜在的な顧客は電力に比べるとかなり少ないと考えられるため、電力小売自由化によって失ったシェアをガスによって補填することは難しいと考えられています。

更に、電力企業については、東日本大震災における原発事故の対応により一定数の顧客が電力会社に悪い印象を抱いていると言うことも大きなリスクです。電力小売自由化に伴い、既存の電力事業者から電力を購入したくないユーザーが離脱を優先して他社へ切り替えたという事例も見受けられるため、ガスの小売完全自由化では電力ほど移動は多くならないのではないかと言われています。

都市ガス事業者の場合、LPガスに比べて圧倒的な価格の安さや、安定した供給体制、そして事故を殆ど起こさない事などから、ユーザーは殆ど不満を感じていません。電力会社がガス市場で成功を納めるためには、価格面で従来の都市ガス事業者に大きな優位を示す必要があります。

しかし、ここで立ち塞がるのが電力小売自由化の際には無かったガス保安業務という大きな壁です。

都市ガス自由化の出だしはイマイチ?

ガス保安義務が新規参入事業者の大きな負担に

ガス事業へ参入する場合に大きな問題となるのが、ガス保安義務です。都市ガスでは、40ヶ月毎に設備の定期保安点検を行う必要があり、設備はガス会社の負担で交換が行われます。

これについては電力でも機器の保守・保安の業務があるため、業務に対するノウハウそのものは一定数持っていると考えられますが、ここで障害となるのが需要家ガス設備点検員という資格です。この資格は日本ガス協会の認定資格で、この資格を持っていなければガスに関するメンテナンスを行う事が出来ません。

そのため、保守を行う拠点を既に持っているとしても、一定数のメンテナンス要員を確保するためにはかなりのコストが必要となります。この保守に必要なコストの問題ですが、ある解決策が考えられています。
同じようにガス設備の保守を行っているプロパンガス会社は、拠点と要員をすでに確保しています。

プロパンガスのメンテナンスには、都市ガスの物とは違う資格が必要ですが、基本的な設備や知識にさほど違いは無いため、既に資格を持っているなら簡単に需要家ガス設備点検員資格を取得することが取れるそうです。そのため、大手電力会社は保守業務を大手プロパンガス会社と提携することでコストの削減を狙っています。

このLPガス会社との提携はすでにかなり具体化しており、関西電力が岩谷産業、東京電力が日本瓦斯との提携を発表しています。

ガス自由化に電力会社も参入!

電力会社がガス事業で成功を収めるための重要なパートナー

関電と提携した岩谷産業、東電と提携した日本瓦斯は、どちらも自前の保守拠点を持っています。岩谷は全国に約1400、日本瓦斯は首都圏に60を超える拠点があり、十分な保守が可能と考えられます。

また、日本瓦斯は都内で都市ガスの供給を行っている経験があり、岩谷産業は子会社に都市ガス事業者を持っているため、技術、経験の面で大きなアドバンテージとなります。都市ガス大手が所有している保守会社も、新規参入事業者からの保守依頼を受けるよう定められてはいますが、依頼費用を考えた場合、コスト面で不利となってしまいます。

関電、東電の大手電力会社2社はプロパンガス大手と提携することで、この保守にかかる費用を削減し、料金面での優位を確保することを目指しています。電力小売自由化に比べ、参入による利益は少ないと考えられていますが、電力大手のこの提携は、本気でガス市場のシェアを狙う動きとして見られています。

ガスの小売完全自由化は来年の4月から開始されますが、電力小売自由化の時のようなインパクトは起こるのか、それとも大手ガス会社の高い壁に阻まれるのか、注目が集まっています。

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