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賃貸物件のガス注意点
新たにマンションやアパートを建築し、新規に入居者を募集する際に注意したいのがガス供給です。
ガスには都市ガスとLPガスがあり、どちらにもメリットやデメリットがありますが、場合によってはガス設備のせいで入居者が集まらない事もあります。
オーナーは実際に住む事があまりないため、この問題には気づきにくく、空き室の増加によって初めて問題を知る場合もあります。
何が原因で入居者が増加しないのか、その原因と対処法について解説していきます。
異様なまでに高額なガス料金は入居者の減少の原因
一般家庭の場合、都市ガスとLPガスではどの程度費用面で違いが出てしまうのでしょうか?
都市圏の場合、1m3あたりの料金を比較すると、都市ガスは180円前後、LPガスでは平均500円となります。この時点でかなりの価格差があるように見えますが、実際にはLPガスは都市ガスの半分の使用量で同じだけの熱量を出すことが可能なため、双方を比較するならLPガスの単価を半分で計算する必要があります。
この場合なら、都市ガス180円、LPガス250円となり、さほど大きな差にはなりません。
LPガスは設備費が含まれる!?
しかし、LPガス業者の場合、ガスの供給に必要な設備についての費用もガス料金に含まれることがあり、これがガス代金の高騰の原因となっていることもあります。
また、平均500円がLPガスの単価ではありますが、業者によってはさらに高額な場合もあり、気づかずに契約してしまうと、入居者に大きな負担となってしまいます。

何故LPガスは高いのか
都市ガスは公共料金と言うことで価格の変更には法律上の手続きが必要になるため、あまり大規模な価格の変動は起こりにくくなっています。
LPガスは小売が完全に自由化されているため、価格を決めるのは販売業者となっており、設備費用などの請求も事業者ごとに違ってきます。
このため、ある業者では10年間契約で設備費用無料なのに、別の業者では設備費用が利用料金として入居者に請求されたりするのです。
上の2者を比較すると前者が安く感じてしまいますが、実際には設備の運用管理費用をガス単価に上乗せしている場合もあるため、一概には比較出来ません。
LPガスの利点
価格面や業者の問題などで評判のあまり良くないLPガスですが、さまざまなメリットもあります。
配管の問題
都市ガスの場合、自宅までのどこかの配管に問題が起こるとガスが完全に停止し、復旧には長い時間がかかってしまいます。
LPガスでは、自宅にボンベを設置しているため、配管などの問題が起こりにくく、破損しても部品の交換だけで修復が完了するため、すぐに復旧可能です。
災害時の問題
また、災害などでガスが緊急停止した場合も、都市ガスでは各配管の安全確認が必須となりますが、LPガスでは敷地内の配管を確認するだけで良いので、早期での復旧が行えます。
また、都市ガスの大きな問題として配管が通ってない地域ではそもそも利用できないと言う問題もあります。
LPガスを選択する場合には入居者に有利な業者を選ぶ
ガス事業者を選ぶ際、各LPガス会社はさまざまなサービスを提示してなんとか契約を取ろうとしてきます。
キックバックであったり、設備設置費用や管理費用の無料化、長期契約によるさまざまな利点などオーナーから見ればどれも魅力的な条件となっています。
長期的に見ると損する可能性が
しかし、短期間で見た場合には確かに得ではありますが、ガス料金が高いと空室が増え、長期的に見た場合大きな損となってしまう可能性もあるのです。
地域的な問題でLPガスしか選べない場合もあると思いますが、その場合でもできる限り月間のガス代金が安くなる業者を選定するように心がけましょう。
また、物件の案内にLPガスと表記されているだけで避ける方も多くいるので、備考欄にガス単価を記載したり、同地域での都市ガスとの費用面での比較を掲載した方が良いでしょう。
賃貸募集の際には、これらのことに注意し、できる限り顧客に不安を感じさせないことが大切です。