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都市ガス全面自由化における課題を検証!

One row of oil barrels and financial chart on background

 2016年に自由化される電力の小売市場。その1年後の2017年に都市ガス市場の全面自由化が行われるのはみなさんご存知ですか?

 独占市場だった都市ガス市場に新規事業者が参入することで、価格競争が起こり、消費者の都市ガス購入における負担が減ることが期待されていますが、都市ガス市場を全面自由化するうえで避けては通れない2つの課題があります。

都市ガス市場全面自由化における課題①~小売り事業者登録~

 電力の小売り自由化において小売りを行う事業者は事前に登録をする登録制を採用していますが、ガス事業でも同様に登録制が採用されています。ガス事業の場合、事業者が新規参入するハードルが高くなり過ぎてしまっているのが現状です。

一般的に登録の際、「ガス小売り事業者」および「一般ガス導管事業者」などのライセンスが必要となりますが新規事業者の場合、それに加えて、最大需要を満たす供給能力の証明を含めた、供給力確保義務保安義務の履行体制が登録するうえでの大きな要件になります。

供給力確保義務について

 大手電力のようにすでに液化天然ガス基地を所有している場合はLNG購入契約のみが求められていますが、ほとんどの新規事業者が基地を持たない中、そのようなケースでは、LNG購入契約以外に、基地の第三者利用契約、あるいは国内の他者から卸供給を受ける場合は卸供給契約の提示が必要となります。

 また資源エネルギー庁は供給の安定性からある程度の中長期での基地の利用契約を望んでいますが、新規事業者からすればそれも大きなハードルとなってしまっています。

 保安義務の履行体制

 ガスの小売り事業者にはガス器具の点検と危険発生防止周知が法律で義務付けられています。これを保安義務の履行体制と言うのですが、これもいままでガス事業を扱っていない事業者にとっては準備に時間と予算がかかってしまいます。

 そこで新規事業者は既存事業者にこの部分の業務委託ができることが決まっており、また既存事業者は業務委託の依頼があった場合、断れないことが法律で決められました。

 これによって多少新規参入のハードルは下がりますが、より詳細はこれから詰めていくそうです。
夜明け

 都市ガス市場全面自由化における課題②~同時同量問題~

同時同量制度の仕組み

 託送供給の利用時はガス製造量をガス需要量の実績に合わせてその差を1時間単位で±10%以内の範囲に収めることが必要であるという制度です。

 同時同量制度の課題

 既存事業者はガス導管ネットワークの貯蔵機能を活用することにより、1日単位で製造量と需要量を一致させているため同時同量制度による製造の弊害がないですが、新規参入企業が同じ導管を使う場合、1時間あたりの同時同量制度が適用されるため、製造に大きな弊害がでてしまいます。

 またそれにより、既存事業者は自社の需要家に対して通信設備を設置する必要がありませんが、託送供給を利用する新規事業者のみが通信設備を設置する必要があり、既存事業者に比べて余計に費用が掛かってしまうのです。

 この2つの点は既存のガス事業者と新規事業者に大きな格差を生み、新規事業者のガス事業への参入のハードルを大きく上げている要因です。

ガス自由化前の課題 <メンテナンス義務>

 まとめ

 このようにガス事業において新規事業者と既存事業者の格差は市場の競争率の低下を生み、それは自由化によって期待される効果を半減どころか皆無にしてしまう大きな問題なのです。

 1年後に迫ったガス事業の全面自由化ですか、この問題を解決しないことには真の自由化とは呼べないのです。

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